ベトナム人材について

ベトナム人の特徴

 ひとつの国の国民性はその国の文化に大きく関わります。べトナム人の国民性としては以下の点が一般的に挙げられます。ひとつは明るく、ほがらかで、勉強熱心であることです。ベトナム人の 柔らかく控えめな態度・発言に「日本人との近さ」を感じる人も多いようです。一方、ブライドが高いわりには責任感が強くなく、「待ち」の姿勢をとる人が多いともいわれています。ベトナムの平均年齢は27歳であり、非常に活気に満ちており、ベトナム人ITエンジニア(IT技術者)も若い人達が非常に多く占めます。

ICT業界における技術者の男女比率の差は日本ほど大きくありません。IT企業内の男性技術者10人に対して女性技術者は6人程度が普通です。女性は品質管理、テスターなどの仕事をすることが多いです。

     ITエンジニアのスキルについて

現状では多くのICT企業でシニア エンジニア、ブリッジシステムエンジニア、中間管理職が不足しています。教育・研修活動を通してこの状況を克服するように力を入れている企業も多くあります。また、エンジニアの日本語能力の向上も重視されています。

     英語能力

IT技術を学んでいる人たちは、知識取得の手段として欧米の文献やインターネットのサイトをよく利用しています。したがって、プログラム言語に関する情報など を英語サイトから入手して自主的に問題解決を図る能力は優れています。これに関連して、英語を読む能力にも長けています。会話については人によってばらつきがありますが、日本のIT企業よりは総じて優れているといえるでしょう。

     日本語能力

日本語能力試験N4/N3レベルを取得する技術者も増えつつあります。ただし、N1/N2レベルの技術者はまだまだ少ない状態です。

     離職率

日本社会での終身雇用制度、年功序列制度とは違い、ベトナムのIT技術者は転職することは珍しいことではありません。ベトナムIT企業での年間離職率は10%~14%になります。転職時期は2月と7月ごろが多いです。ただし、転職は若い年代ほど多く、勤続年数が4-5年を超えてくると定着率は格段に上がってくる傾向にあります。

     給与、賞与制度
  • ベトナムでは経済成長が続いているため、能力評価とは関係なく、インフレ率に応じたベースアップが例年あり ます。

  • ベトナムでは一年に一回1ヵ月分の賞与支給が通例です。

  • 企業経営状況に応じたパフォーマンス賞与もあります。

     残業への意識について

基本的に理由のない「付き合い残業」や極端な長時間残業は嫌がる傾向があります。ただし、納期が直前に迫った状態での作業遅延発生時や顧客からの緊急要請発生時など、残業を行わなければいけない正当な理由があれば責任を持って残業や休出での対応にあたります。

まとめ

コミュニケーションの問題、要求仕様の誤解、品質管理能力の低い問題などがオフショア開発の問題点としてあげられますが、発注元とオフショア先が協力して、問題点を一つずつ丁寧に解決に導くことで、ビジネスへの大きな効果をもたらすことが可能です。近年日系企業からベトナムへのオフショア開発は増えてきていますが、国境を越えた開発をしている以上、日本人とベトナム人双方が歩み寄って進め方を工夫していくことが大切です。

 

ベトナムのIT業界

ここで紹介するデータは、ベトナムの情報通信省(MIC)が発行するICT白書2014で発表されたベトナムのIT業界における売上・従業員数・平均収入などの情報を収集したものです。

ベトナムにおけるIT業界の売上は毎年拡大しています。その中でも、スマートフォン関連の外資企業誘致などの影響により、ハードウェア産業の売上比率がかなり高くなってきています。

図2:ベトナムにおけるIT業界売上規模(百万ドル)

毎年、IT企業で働く従業員数も増加しています。売上げの傾向と同様、ハードウェア関連の従業員数の比率が高くなってきています。一方で、ソフトウェアおよびデジタルコンテンツ関連の従業員数は増加しているものの、ハードウェアほどではないことがわかります。

図3:ベトナムにおけるIT業界の従業員人数

最近ではデジタルコンテンツ産業の平均収入が上がっており、ソフトウェアを逆転しています。ソフトウェアやデジタルコンテンツと比べるとハードウェアの平均年収が低いことが顕著にわかります。

図4: IT業界の従業員一人当たり平均収入(ドル/年間)