外国人学生のインターンシップとは、学生が自国の大学の教育過程の一部として日本の大学とホテル等の企業との間の契約に基づき、ホテル等から報酬を受けて(又は無報酬でも可能)1年間を超えない期間で、且つ通算してその大学の就業年限の2分の1を超えない期間内でホテル等の業務に従事させることができる制度です。
また、ホテル等の企業側にとっても、ホテル・観光学を学び日本語のできる優秀な外国人学生を試行的に職場体験させることができ、さらに能力の高い学生については、そのまま雇用契約を結び就職してもらうことも可能です。
なお、日本での滞在期間の在留資格については、次の①~③で外国人学生を招聘することになります。
報酬が付与される場合は「特定活動
②報酬が付与されない場合で在留期間が90日を超える場合は「文化活動」
③報酬が付与されない場合で在留期間が90日を超えない場合については「短期滞在」

  1. 外国人学生のインターンシップの解説

インターンシップとは、学の教育課程の一環として行われ、外国の大学生が日本企業等で一定期間の就業体験をする制度で、日本企業での外国人学生の就職活動のミスマッチを防ぎ、職業意識の向上に資するのが目的です。一方、サマージョブ(サマーインターンシップ)も前述したインターンシップとほぼ同様ですが、夏季休暇等の期間を利用して行われ、通常は教育課程の一環とはみなされません

両者とも、大学と企業の契約に基づき報酬を得て企業等で就業体験を行う点においては相違なく、人材採用のグローバル化に伴い、在学中の優秀な外国人留学生や外国学生などに自社をアピールするなど、採用活動の一環としても利用されています。

  1. インターンシップのメリット

1.企業側のメリット
・優秀な学生に就業体験をしてもらい将来の雇用機会につなげる
・外国人を受け入れる企業風土の育成に役立てる
・語学対応、マネージメント能力など、社員教育の一環として役立てる

2.学生側のメリット
・報酬を得ながら日本での生活や文化に触れることができる
・将来の就職先となるかもしれない
・学生のうちから社会人としての常識、教養を身につけることができる

とはいえ、インターンシップはあくまでも大学教育の一環として実施するものであり、就職や採用を前提とした活用は好ましくなく、採用活動とインターンシップは無関係とするケースが一般的です。

 

  1. 2つのインターンシップ受入方法

1.海外の大学から受け入れる

海外の大学に在籍する学生を受け入れるケースであり、日本企業が海外の大学と契約を結び、授業の一環として学生を受入れます。海外の一流大学を卒業予定の「高度人材」と言われる学生が対象となる事が多く、プログラマーやエンジニアなどの技術職が多くみられます。

 

2.日本の大学から受け入れ

既に日本に留学ビザで来日している外国人留学生をインターンシップとして受け入れる方法です。日本語がある程度でき、社会常識なども理解しているため、外国人雇用が初めての企業でもスムーズに受入れが可能となります。本格的に外国人従業員を採用する前の一時的なトライアルとして受入れ、社内の反応や問題点などを探るために活用する企業も多くみられます。

  1. インターンシップと報酬

インターンシップは、外国の大学の教育課程の一部として、その大学と日本企業との間の契約に基づき実施されます。学生は企業で実際に就業することとなりますが、この就業に対する報酬は有償でも無償でも構わず、具体的な金額についても制限は設けられていません。そのため、中には学生に対して高額な報酬を払う例もありますし、全く無償で実施している例も見られます。

 

  1. 国内インターンシップと就労制限

日本の大学から外国人留学生をインターンシップとして受け入れる場合には、就労制限がありますので注意が必要です。既に日本に滞在している外国人留学生は留学ビザを所持していますが、この場合には資格外活動許可を取得することにより、1週間について28時間以内(長期休業中は1日8時間以内)のアルバイトが可能となり、この範囲内でインターンシップを行うこととなります。この就労制限を超えて就労をさせた場合は、資格外活動違反となり外国人留学生は日本からの退去強制の対象にもなりかねますので絶対に違反してはいけません。

ただし、例外として1週間について28時間を超えるインターンシップが認められるケースもあります。

<対象者>
1.留学ビザで短期大学を除く大学に在籍し、インターンシップを行う年度末で修業年度を終え、なおかつ、卒業に必要な単位をほぼ修得している学生
2.留学ビザで大学院に在籍し、インターンシップを行う年度末で修業年度を終える学生
3.特定活動ビザで在留する就職活動を行っている学生
4.特定活動ビザで在留する就職内定者

上記に該当しない場合でも、単位を修得するために必要な実習など、専攻科目と密接な関係がある場合等には許可されるケースもあります。

  1. インターンシップの期間

インターンシップの滞在期間は、「1年を超えない期間で、かつ、通算してその大学の修業年限の2分の1を超えない期間内であること」とされています。修業年限とは大学が所在する国の教育制度上、学位を取得するのに必要な最低期間の事を指し、2年制の大学なら1年間4年制の大学なら2年間となります。

また、1年を超えない期間となっていますので、一度のインターンシップでは最長でも1年の滞在となります。仮に4年制の大学であれば、本人が一度帰国したのち、別の機会でもう1年間インターンシップとして来日することができます

  1. インターンシップとビザ

海外の大学からインターンシップを受け入れる場合には、ビザの取得が必要となります。滞在期間と報酬の有無によって取得するビザ(在留資格)が異なります。

1.ビザの種類特定活動ビザ短期滞在ビザ文化活動ビザ
2.滞在期間90日以上90日以内90日以上
3.報酬の有無あり無報酬無報酬
  1. インターンシップと税金

報酬が発生するインターンシップでは給与として扱われるため、企業側には所得税の源泉徴収義務が発生します。1~2週間程度の短期インターンシップであれば給与所得の源泉徴収税額表の日額表の乙欄を使用し、月払いとなる場合には月額表の甲欄を使用することになります。

ちなみに、月払いで税率の安い甲欄を使用するためには学生から「扶養控除等(異動)申告書」をもらう必要があり、学生が2カ所以上でバイトをしている場合には所得税の確定申告も必要となります。また、年間所得が103万円以下で所得税が天引きされた月がある場合に還付されることも考えられます。

  1. インターンシップと保険

インターンシップでも、正社員の4分の3以上の就労がある場合には社会保険加入の対象となり、労災保険の適用は雇用とみなされるかどうかにより異なります。状況によりけりですが、公的な保険が適用されない場合には民間の保険を活用してリスクをカバーすることも必要です。

  1. インターンシップと問題点

インターンシップで起こり得るリスクとしては、以下の3点があげられます。

1.学生の被災事故
通勤中の交通事故、作業中の事故、オフィス内での転倒など
2.学生の行為による損害
備品の破損、従業員や顧客への暴行・けが、ビジネスの妨害による売上損失など
3.機密漏洩
新製品、人事、ファイナンス等の情報漏洩

  1. インターンシップビザの必要書類

1 在留資格認定証明書交付申請書 1通
2 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
※申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。
※写真の裏面に申請人の氏名を記載し,申請書の写真欄に貼付して下さい。
3 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上,392円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通
4 申請人の在学証明書 1通
5 身分を証する文書(身分証明書等) 提示
6 申請人が在籍する外国の大学と日本の受け入れ機関との間で交わしたインターンシップに係る契約書の写し 1通
7 申請人が在籍する外国の大学からの承認書,推薦状及び単位取得等教育課程の一部として実施されることを証明する資料 適宜
8 申請人の日本での活動内容,期間,報酬等の待遇を記載した資料 1通
9 申請人のインターンシップでの過去の在留歴を明らかにする資料 適宜
10 申請人の在籍する大学の修業年限を明らかにする資料 適宜

 

  1. インターンシップビザの注意点

インターンシップ制度が安価な労働力の供給源として悪用される例もあるため、労働法関連、大学の専攻と関連性などについて審査が行われます。学生がその企業で直接生産活動などに従事した結果、利益効果が企業に帰属し、かつ企業と学生の間に使用従属関係が認められる場合には労働者と考えられます。また、インターンシップの内容とその学生の専攻学との関連性についても審査がなされ、関連性が強ければ許可となりやすくなります。当然ですが、風俗営業などに従事するものは認められません。

 

<外国人学生のインターンシップに関してよくある質問>

◆海外の学生をインターンシップで呼び寄せる場合、学生に関する条件などはありますか?

インターンシップビザ(特定活動)に該当するためには、その学生が卒業または修了した者に対して学位の授与される教育課程に属するものに限られています。また、通信による教育を行う課程に属している場合は該当しませんので注意が必要です。

インターンシップで受け入れた学生に対して、住居費、食費、交通費などの実費を負担する予定ですが、これらは報酬とみなされるのでしょうか?

入管法によれば「報酬」とは、インターンシップの活動を行う学生に対し、就労の対価として受け入れ機関から支払われる金銭とされています。具体的には時間給や日額単価に勤務日数をかけた額の金銭が支払われた場合などが該当します。原則として住居費、食費、交通費などの実費弁償に該当するものは報酬に含まれませんが、実際の審査では支給される個々の内容により報酬かどうかが個別に判断されています。

◆海外からインターンシップで受け入れた学生ですが、4年制の大学のため合計2年間は受け入れ可能と考えています。ただし、「1年を超えない範囲」との決まりがあるため、一度、みなし再入国許可で帰国させ、すぐに入国させようと考えていますが、可能でしょうか?

みなし再入国で帰国しただけでは、原則としてそのインターンシップが終了したとはみなされません。1年のインターンシップ終了後、もう一度、インターンシップで呼び寄せる場合には、新たに在留資格認定証明書の交付申請を行う必要があります。つまり、初回に呼び寄せた場合と同様の手続きを行う必要があります。